未来へ広がる翼のように
~山崎泰孝

現代の建築、内容が多様化・複雑化しているため、その設計者には従来の論理や感性を超えたより広く、より高い視点が必要である。今回特集した、ドイツの建築家、クリストフ・インゲンホーフェンが設計したルフトハンザ新本社(Lufthansa Aviation Center)は、このような新しい建築のあり方を示してくれている。

この建築は、巨大でありながら、使う人々に活き活きとしたコミュミケーションと適度な自立性のある環境をつくりだし、さらに飛行場や高速道路に挟まれながらも快適で、サスティナビリティを確保する、といった難しい課題も見事に解決している。さらに、多様で美しいウィンターガーデンと一体化しながら、透明なファサード越しに眺望を楽しめる魅力的な建築ともなっている。

その背景には、様々な専門家との協働、最高性能のガラスの徹底活用とファサード構成技術があった。本特集では、このLACを詳しく紹介するとともに、インゲンホーフェンの近作や思想を同時に紹介している。読者の方々の参考になれば幸いである。

写真:ドイツの建築家、クリストフ・インゲンホーフェンが設計したルフトハンザ新本社(Lufthansa Aviation Center)