スペースモデュレーターレポート
No.5 2005 汐留住友ビル
──「空・間」が実現した建築

透明なアトリウムを実現する構造とファサードエンジニアリング


エントランス・アトリウムの全景
photo by Shinozawa Hiroshi

汐留住友ビルの大アトリウムを貫通し、事務所部分の荷重を支える支柱は、12.8mの間隔でガラスファサードの内側に位置しており、およそ40mのアトリウムの高さの分はまったくこの柱の座屈を補剛する部材が無い状態である。
いくつかのアイデアの中から、設計者は、やや扁平の多角形断面の単柱の案を選択した。柱は座屈に対して効果的な紡錘型の断面形状を採用し、柱の挙動を明確化するために柱脚にメカニカルな2方向ピンを設けることとし、建物全体の地震時刻暦応答解析の応答値を柱のFEMモデルで解析した。
また、このアトリウムは西日をまともに受けるため、その温熱環境の評価、快適性を向上させるための提案、中間期自然換気の可能性の検討、冬季のペリメータ・ゾーン空調の検討などについても協力した。

(彦根 茂:Arup Japan/概要文責は編集部)

エントランス・アトリウムの全景
photo by Shinozawa Hiroshi

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汐留アトリウムのコンセプトは主に2つの点において発展した。
まず、ガラスフィンの耐風梁によって水平方向に12.8mスパンとすること。その一方で構造柱から両側に3.2mのカンチレバーアームを張り出し、実際のガラス耐風梁のスパンは6.4mとした。
2つ目は、一点のメタルの「顎」でガラスフィンをくわえ込む「クロコダイル・ノード」によって、外部ガラスフィン、内部のガラス耐風梁、ファサード面ガラスそして鉛直荷重を支持するハンガーケーブルを接合すること。これにより金属部材の点数が最小となり、ファサードの透明性を増すことができた。

(Peter Hartigan:Arup Sydney/概要文責は編集部)
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