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No. 91

2005

特集:オーストリアのガラス建築

序文

オーストリア ──── 煌めくガラスの宝石箱

山崎泰孝

オーストリアは、人口約810万人、北海道より少し広いくらいという小国だが、きわめて多様な魅力にあふれている。特に建築は、その長い歴史と多様な地域性を反映して、非常に多彩で魅力あふれるものが多い。論理性・合理性がある一方で、感性的・官能的な面があることも、魅惑的だ。

この特集は、そのようなオーストリアの建築の中で、ガラスを多く、あるいは魅力的に使っている、近年につくられた建築を、ウィーン、グラーツ、リンツ、インスブルック、ブレゲンツといった都市ごとにまとめた。各都市の風景や歴史的背景などにより、多様な建築が多く、それぞれに個性がみられる。
また、総じて歴史や自然環境を意識しつつも、ラジカルに問い直し、新鮮な建築を見せてくれている。わが国でも「透明建築」の拡大につれて画一化の行き過ぎが危惧されている現在、オーストリアの小振りなガラス建築の多様さ、緻密さや色や模様を含めたガラス素材の豊かな表現など、今後の方向を示唆する点が多い。

読者諸氏が、そうした多彩な煌めくガラス建築を味わい、さらには自らの目で見るきっかけともなることができれば幸いである。