ドイツ中部の人口約３万人の小さな都市シュヴェービッシュ・ハルは、ケルト時代からの歴史があり、現在も、中世の雰囲気を色濃く残した美しい都市である。

この建物は、小学校から高校までが集まった教育施設群が共用する集会堂で、1960年代につくられた音楽室を増築したものである。学校行事・集会のみならず、簡単な演劇などもできるホールとなっている。

建物は、変形した六角形平面の元の建物の形を活用・反復して増築された。 設計者のディーター・コッホ氏は、「拡張」という建築の経緯を形象化すべく、リンゴ等を包む時に使われる拡げると菱形のネット状になるクッション材に想を得て、この外装デザインを考えたという。
南面の窓が小さく、ドイツで一般的な躯体外部を断熱材で覆う外断熱構法でつくられ、地下の冷気や暖気を利用するなど、環境に配慮した建築となっている。