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抽象と物象
SAMMLUNG GOETZ──ゲーツコレクション

フォルケンローダ修道院外観
ゲーツコレクション外観 Photo by Satake Kunihiko
抽象的で豊かな空間
ゲーツコレクションの建物は単純な直方体で、地下および2階がギャラリースペースとなっており、2階には3つの同じ大きさの空間が、地下には広さも高さも異なる空間が4つ設けられている。ギャラリー空間では上方のフロストガラスによるハイサイドライトから拡散された自然光を採りいれている。単純な構成だが、特に多様な光が入る地下では、その空間の豊かさに驚かされる。
物象化するガラス
ゲーツコレクションの魅力をつくっている光の演出を紡ぐガラスは、きわめて簡潔だ。大きな複層ガラスだが、角も継ぎ目部分も突きつけで面一、かつ透明度が高く仕上げられている。
建物の内部からみると、この大きなガラス越しに入る光は、美術作品の鑑賞を妨げるような強い自己主張をするわけではないが、時に外界の様相を微妙に変奏してくるのを実感できる。ゲーツコレクションでは、ガラスがその「物」としての性質を再び獲得しつつ、抽象的な空間に生命を与えているのである。
(概要文責 編集部)