全室「個室化」と「生活援助」の質──いくの喜楽苑

衣川哲夫
特別養護老人ホームあしや喜楽苑副施設長



いくの喜楽苑4床室写真
引戸を用いて個室化をはかっている
photo:いくの喜楽苑提供
いくの喜楽苑は、「人権を守る」「民主的な運営」という基本理念に基づいて、2人室・4人室も引戸などを用いて「個室化」を図ると共に、食堂・デイルームを3か所に分散させるなど建物にも工夫をこらした

入居がほぼ完了した頃、入居者から「自分で部屋を管理できるよう引戸にカギをつけてほしい」との要望が出された。この要望に応えると、次にはドアの内側に思い思いのカーテンがつるされるようになった

職員数は、ショートステイと3つのエリア、個室化を考慮し、国の配置基準を約5割上回る20名を配置している。入居者は、お互いを「近所の○○さん」と呼び合い、「お茶を入れたから」「手土産をもらったから」と、相互に居室に招いたり招かれたりする光景も見られる

職員の生活援助の質が伴わなければ、個室化は“独房”にもなりうる
人間の尊厳を守り、ボケても障害を持っても市民的生活の自由を保障する視点での援助が欠かせない。居室への家具・調度品・電気製品・電話等の持込みや外出も自由であり、入居者の自己決定を促す言葉遣いや生活の場づくりへの協力、プライバシーを考慮した援助を行っている
このような援助があってこそ、入居者の生活の広がりがつくリ出され個室化が真に活かされる

(概要文責 編集部)

いくの喜楽苑データ


目次に戻るTOPに戻る
ご購読ご感想バックナンバーリスト日本板硝子ホームページ


提供:日本板硝子株式会社