書をもって美術館へいこう

山崎泰孝

 
 

美術館とは、何よりも「美術」を扱う場である。そのイメージは、がっしりした壁につつまれた静かな空間の中で、権威ある作品をありがたく拝見するところ、だろう。

それでは、美術館にある「美術」とは何か。美しい絵?生き生きした彫刻?それだけではない。便器、島を布で包むこと、地球を衛星から見ることも全て「美術」と呼ばれる。つまり「美術」は、人のこころを動かすものだ。

そのように、美術が変わっている以上、美術を扱う場である美術館も変わるべきだし、事実変わってきている。82号で博物館が新しくなろう、開かれようとし、成果をあげていることを見た。美術館も同様だ。もっと気軽に、積極的に美術作品とふれ、美術創造の喜びを感じて欲しい、と、ラブコールが美術館から発せられている。

本書では、美術の変貌に対応して変わりつつある美術館を紹介した。しかし実体験には及ばない。新しくなりつつある美術館を体験し、こころの中に美術館をつくろう。そのとき手に本書があれば、編集者として望外の幸せである。

 
 (概要文責 編集部)  


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