博物館の展示計画 岡野 眞
1946年神奈川県生。岡野設計監理事務所代表、日本・建築ミュージアム役員
著作に『記念展示館』『日本の企業博物館』などがある


●ミュージアムの系統樹(編集部が簡略化)
ミュージアムには4つの方向性がある。
1.保存・研究機能の強調
2.収集・保存・研究・普及・展示の総合機能の強化
3.新しい発想のもとでの普及・展示の機能の拡張化
4.展示の機能への特化、である。

展示計画の課題

場(ば)の課題
まずは敷地とその環境づくりから展示計画が始まる。
次に展示するものに合わせるべく、関係者の連携のもとでの「手作りの一品共同生産」が不可欠だ。

物の課題
常設展示の充実が第一義だ。予算がなければ自らのワークショップで展示品を製作する等の努力と工夫が欲しい。模型や映像はあくまでも補助的手段だと再認識し、できる限り本物を扱いたい。

人の課題
博物館経営の全ては組織、つまり人の問題に帰する。
特に、展示計画に関わる学芸スタッフの質の向上が課題だ。また、社会教育施設としての博物館に重要な教育普及活動にはボランティアが不可欠だが、館に専任スタッフを置くことで有効な組織化が可能になる。

展示計画の方向

環境化の方向
博物館の位置する環境や博物館建築それ自体が展示となり、館内展示と共に敷地一帯に野外展示がなされる方向がある。

マルチメディアの方向
マルチメディアは、博物館のめざす方向と理念を確認し、展示の補助的な役割と位置づけて導入を図りたい。

演劇化の方向
明確な展示計画のもとで展示の演劇化や展示と演劇の一体化が必要だ。

(概要文責 編集部)

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