ベルリン変貌──都市の再構築と環境

春日井道彦
かすがい みちひこ
1936年愛知県一宮市生まれ 1964年に渡独し、ベルリン、ボンなどでの都市計画事務所を経て、1973年よりダルムシュタット工科大学都市計画研究員。1989年にフランクフルトに春日井建築都市計画設計事務所を設立し、今日に至る
著書に『比較で見る西ドイツの都市と計画 フランクフルトと大阪』『都市・集まって住む形』(共著)、『人と街を大切にするドイツのまちづくり』等がある。


2000年3月のポツダム広場
Photo by Aoki Tsukasa
環境政策に敏感なドイツ
ベルリンのドイツ連邦議会堂が最新技術がふんだんに取り入れられたエコロジー的な模範建築であることからもわかるように、ドイツは環境政策に敏感だ。例えば廃棄物対策では、梱包廃棄物の生産業者と流通業者に引き取りと再資源利用を義務付けた法律によって、梱包材の70%が回収されている
環境重視の都市計画
自然環境への配慮から、郊外発展よりも市内の空き地を埋めるのが現在の都市計画の基本姿勢だ。また、都市内でも、大きすぎる都市施設を小さくする建設行為リュックバウ(Rueckbau)が行われている
ドイツでは建設許可に関る都市計画法(国法)や建設法(州法)や自治体条例(市町村)などの、いずれもが環境を重視している。例えば国法では開発が破壊する植生を補償する「植生侵害プラン」と「埋め合わせプラン」の提出が必要だ。また地区詳細計画(Bプラン)では、例えば建物の高さ、隣接する建物との間隔、屋根の向きなどが決められる
建築面からみた環境対策
ドイツでは暖房エネルギーの節約が重要で、外壁の断熱化や北面開口部の縮小などの「省エネ建築」に加え、自然エネルギーを利用する「パッシブ建築」や、暖房エネルギーを全く使わない「ゼロエネ建築」の試みも行われている
建築申請でも断熱条例(国法)で「暖房エネルギー計算」が義務づけられ、壁や窓・屋根材の断熱度を算出し、床面積あたりの暖房に要するエネルギーを計算・提出しなければならない。窓やドアは2重ガラスが条件で、日射遮蔽性を含めた窓ガラスの断熱値(k値)が計算基準となる
(概要文責 編集部)


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