保存科学の視点から |
1936年東京生まれ 東京国立博物館学芸部 |
東京国立博物館本館 photo by Fujimura Hirokazu |
1882年に開設された東京国立博物館は、現在、関東大震災で破損し建て直した延床面積22,500平米弱の本館、明治末期の代表的洋風建造物で重要文化財指定の表慶館、日本以外の東洋諸地域の美術工芸品等を展示する東洋館、法隆寺宝物館及び資料館からなっている。 また、本館の常設展示を縮小せずに特別展を実施できるよう2階に特別展示室を設け、1階には表慶館から一部の資料を移設するために1999年開館予定の平成館(仮称)が建設されている。 加えて、裏庭に応挙館、九条館、転合庵、春草廬などがある。 ●展示 現在、本館で常設展示と企画展示を、その他の各館で常設展示を行っている。展示替えは美術品によって異なるが、常設展ではほぼ1ヶ月に1度の展示替えを行っている。 ●本館、東洋館の改修における展示ケース 両館は、1993年から1994年にかけて改修工事が行われた。改修は床の張り替えほか多岐に渡ったがそのうち展示ケース及び展示照明について述べる。 置き展示ケースは、立ちケース、アンドンケース、のぞき見ケース及び連結式のぞき見ケースを製作した。これらのケースはすべて気密性に優れたエアタイト形式とし、温度変化に伴う相対湿度の変動は、調湿剤によって安定させる方式をとった。高透過ガラスを用い、色彩を損なわずに鑑賞できるようにした。 照明は、美術品保存の意味から、照度ルックスを低くする国際的な動きにあわせつつも鑑賞条件を確保するため、新しく調光器による照度調節が可能な4000ケルビンの蛍光灯を製作・採用した。 |
本館内の連結式のぞき見ケース photo by Fujimura Hirokazu | |
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