本館は、九州の陶磁器の文化遺産の保存と陶芸文化の発展に寄与するために、焼物の町、有田を臨む小高い丘の上に建てられた。
●外観と平面計画
外観は、黒っぽい銅板葺きの勾配屋根や白磁タイル貼りの壁など、有田の陶家を思わせる。
玄関からエントランス・ホール、展示室と続く2階フロアには、展示室や講堂の他、事務室・学芸員室などがある。展示室と展示室との間には風景が眺望できる休憩スペースが設けられている。1階には収蔵スペースや、ロクロ室、絵付室、窯室などの作業スペースほかがある。
●第1〜5展示室の概要と展示活動
- 団体展やグループ展などで利用される。この奥に数寄屋風の茶室がある
- 現代の九州陶芸の展示室
- 九州の古陶磁を展示
- 陶磁器の分類や製作工程、九州陶磁の流れおよび江戸時代に輸出された有田焼の展示
- 17〜19世紀の有田磁器(柴田コレクション)を展示
●資料の収集と調査研究活動
当館は、九州陶磁の歴史的・技術的に重要な資料の系統的網羅を目指している。
しかし、技術的・意匠的に多彩な、近世の陶磁器生産の中心であった肥前磁器を網羅したとは言えず、また肥前以外の九州の古陶磁も十分でなく、今後の課題である。
●教育普及活動
当館では館蔵資料目録、常設展示目録など種々の印刷物の刊行や、陶芸文化講座、1階のロクロ室などを用いた初心者対象の陶芸教室などを開催している。美術、歴史に関する文献も多数収集し、主な図書は自由に閲覧できる。 |