●博物館設立の経緯
福山市を流れる芦田川の川底に埋もれていた中世の港町・市場町「草戸千軒町遺跡」で、1973年以来20数年、発掘調査が行われ、中世の民衆の生活の様子を復原することが可能となり、「草戸千軒」をメインテーマとする博物館が設立された。
●建築の概要
当館は、1階の企画展示室と2階の「草戸千軒」に関わる常設展示室のほか、収蔵施設、保存処理施設の他、荷解室・遺物調査室・図書室・研修室・講堂等が整備された本格的な博物館である。
●展示の概要
最初の通史展示室では、瀬戸内の歴史を展示している。そして壁面に備前地域地形模型がある長い通路「草戸千軒への招待」を進むと、突き当りに“草戸千軒町遺跡”を記した江戸時代の『備陽六郡誌』がある。そこから暗い円形の部屋に入ると、床面に川面の波が、壁面下部には様々な遺物が、また上部には遺跡周囲の全景が、段々と浮かび上がる。
次の草戸千軒I展示室では、“よみがえる草戸千軒”として南北朝時代の草戸千軒の町並の一角(市場・職人たちの住居・畑・墓地等)が実物大で復原されている。職人たちの家の中の生活・仕事用具や食べ物類で中世の庶民の生活が再現されている。室の両側にはこの模型の復原根拠の出土品の展示もある。
続く草戸千軒II展示室では、遺跡模型や歴史資料・出土品の展示に加えて全国の中世遺稿の紹介コーナーを設けている。
こうした展示・建築は、長年遺跡の発掘調査をしてきた学芸員が建設計画の最初の段階から深く関わることで実現できた。
●展示以外の活動
教育普及活動として、映画の製作、文化財入門教室や博物館講座等を実施する一方、こども博物館教室を開催している。また、特別展や春・秋の企画展では、担当学芸員が展示解説会を行っている。 |