平塚市博物館

浜口哲一
1947年山梨県生。平塚市博物館生物担当学芸員
著書『街の中の森』『とり』など



平塚市博物館外観
photo:Hiratsuka City Museum
博物館準備室と建築設計
平塚市博物館の基本は、平塚周辺在住在勤者が何度も繰り返して利用する中で地域の再発見ができるような、地域博物館という概念だ。
この考えに沿って、展示室に加えて、講堂や工作・実習等ができる科学教室や広い収蔵室が設けられ、展示計画にあった空間づくりも行われた。
この考えは館の運営計画にも反映され、図書館と同じ感覚で利用できるよう入館料を無料とするなどの方針も打ち出された。また、人材を重視し開館前に9名の学芸員を採用した。

放課後博物館と建築
開館20年経ち、博物館の資料収集、出版、展示など多くの面に市民の参加が得られ、博物館活動が盛り上がってきた。
例えば、市民が参加した「相模川を歩く会」は、5年かけて平塚の河口から水源の山中湖まで120km強往復し、博物館のテーマである「相模川流域の自然と文化」を実際に見聞した後、その成果をまとめて「相模川事典」をつくった。

こうした活動が活発かつ日常的に行われているような博物館のイメージを私は放課後博物館と呼ぶ。これは、展示室を見る一過性の利用を中心とした遠足博物館の対になる言葉で、どちらも博物館の魅力の一面を示していると考えている。

放課後博物館としての活動により建築上の問題点も感じてきた。1つは多面的な市民参加のためには部屋数が足りないことで、もう1つは市民の活動に伴って増えた採集品などの収蔵スペースが手狭になったことだ。

博物館は、展示があるだけの場所でも、学芸員が自分の研究だけに精を出し、たまにその成果を市民に還元する場所でもない。学芸員と市民が一緒になり、さまざまな活動を通して資料と情報を蓄積していく施設だと思う。

縄文土器を作る会
photo:Hiratsuka City Museum
(概要文責 編集部)
平塚市博物館データ

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