1941年横浜生。東京工業大学教授・環境デザイン研究所 こどものあそび環境の研究とデザイン 著作は『こどものあそび環境』『遊び環境のデザイン』『子どもとあそび』他 メールアドレス:nnishimo@post.arch.titech.ac.jp |
図1:展示テーマの構造 |
浜松市を中心とした静岡県西遠地区には、「やってみようじゃないか」という意味を持つ「やらまいか」という実験・創造精神が小さな町工場を世界的な企業に育てた風土がある。その活力と科学的想像力をこどもたちに継承し発展させるために科学館が構想された。 ●展示基本計画 展示の基本的目標は、こどもの科学や産業に対する興味と関心の高揚、科学知識の向上、心豊かで健全な圏域住民の育成であった。それに応じた設計の理念として、見る展示から触れる展示、自分達でつくる展示、美しい展示、展示を契機としたコミュニティーの形成、建築計画とのダイナミックな融合を掲げた。 ●展示テーマと展示空間構造 展示テーマは3つの軸と2つのトライアングルによって図1のように構成した。この構造を展示空間として置き換えると、図2のようになる。 ●建築・展示・外構の総合設計 私は、図2の展示空間の構造を建築化し、中央のプラネタリウムの下の円形基壇を中心とした同心円状の構成で、こども達が自由に歩き回り体験できる、巨大な遊具と同じように計画した。 建築も展示物というコンセプトにより、エレベータや自動ドアの機構なども内部がわかるように展示されている。 建物前面にはサイエンスパークと自然観察園を設け、アーティストによる科学的な意志を込めた造形作品がつくられている。 ●運営 企画には外部の専門家が参加し活性化を図っていることに加え、浜松の様々な企業の協力も円滑に行われ、毎年大勢の入場者が来場している。 |
図2:展示空間の構造 | |